このような症状はありませんか?
- 胸やけする
- みぞおちやその背中側がキリキリと痛い
- 胃酸が逆流してくる感じがする
- 喉につかえる感じがする
- 飲み込む際に喉の違和感を認める
- 咳が続く
逆流性食道炎では上記のような症状がでてくることがあります。
逆流性食道炎とは
主に胃酸が食道へ逆流することにより、食道の粘膜に炎症による障害が生じ、胸やけ(みぞおち付近の、前胸部、背部にキリキリと痛む感じ、しみる感じがすること)や呑酸(酸っぱい液体が上がってくる感じがすること)などの不快な症状を感じたりする疾患です。喉の違和感や、慢性的に咳が出ること、出血や狭窄の原因となることもあります。特に寝起きや食後に上記のような症状を感じたら胃酸が逆流している可能性があります。
日本人の有病率は10%程度と考えられています。粘膜変化がなくとも症状が現れる場合を、非びらん性逆流症(NERD)と分類し、合わせて胃食道逆流症(GERD)と呼ばれますが、NERDを含めると、さらに有病率は高くなります。また、1990年代には著明な増加傾向にありましたが、近年は穏やかな増加にとどまっています。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎の原因として以下の要因が考えられます。
①食道ー胃接合部の圧力の低下
胸腔と腹腔は呼吸運動に寄与する横隔膜により隔てられ、食道は横隔膜に開いた穴である食道裂孔を通過して腹腔内に入り、胃に移行します。また飲食をしたときには、下部食道にある括約筋が緩み、食事や液体が胃に流入します。この括約筋が、嚥下と関係なく一過性に弛緩した状態になると、逆流防止の機能が十分でなくなり、胃酸の逆流が起こります。
②食道裂孔ヘルニア
食道裂孔周囲の支持組織が弱くなると、腹腔内にある胃が胸腔側に滑脱してしまいます。この状態を食道裂孔ヘルニアと呼びます。滑脱した胃の中に胃酸が停留し、逆流することにより食道に炎症を起こしやすい状態になります。
③胃内容の停留、腹圧の上昇
下部食道括約筋が正常に機能していたとしても、胃が強く圧迫されると、胃酸が押し出され、逆流性食道炎を引き起こしてしまう場合があります。
- 胃の中に貯留がある状態で横になると、重力で食道方向に圧がかかり逆流する
- テレビを見る、PC作業をする時などに常に前かがみの姿勢になっている
- 着物やコルセットなどお腹を締め付ける服装をよくしている
お腹に力が入る動作を頻繁に行う(重い荷物を運ぶなど)
その他に、精神的なストレス、過度な飲酒、睡眠不足などが原因で胃酸が過剰に分泌される、心臓の疾患や血圧のお薬、喘息のお薬などの副作用として下部食道括約筋の機能が緩んでしまう場合などがあります。
逆流性食道炎の診断
症状から逆流性食道炎と診断することもありますが、上部消化管内視鏡検査(EGD;俗称胃カメラ)で、食道を直接観察し、食道への胃酸、食残などの逆流の状態や、食道粘膜の変化を確認することで診断、重症度を評価します。食道-胃接合部近辺の発赤や潰瘍、食道裂孔ヘルニアの有無を判定しますが、必ずしも症状の重さと比例するものでもありません。
上部消化管内視鏡検査(EGD;俗称胃カメラ)とはとは、口や鼻孔からスコープを挿入し、食道、胃、十二指腸の病変を調べる検査です。病変部を直接視認、観察することができ、病変部より組織を採取して顕微鏡で評価(病理検査)してもらうことも可能です。精度の高い有効な検査方法といえます。
<当院での上部消化管内視鏡検査(EGD;俗称胃カメラ)について>
当院では口から挿入するEGDのみ行っております。「スコープを口から入れられるのが辛そう」「一度検査を受けて、嗚咽感が苦手だった」といったネガティブなイメージを持たれている方が多いかもしれません。こういった抵抗感をお持ちの方には、十分な局所麻酔、鎮痛剤、鎮静剤、お腹にたまりにくいCO2を使用しての検査も行っています。検査は消化器専門の医師が対応し、初めての方も、一度検査を受けて苦手意識を持っている方も安心して検査を受けて頂けるよう心がけています。